なぜ毎日1時間・90日なのか(学習設計)
なぜ"毎日1時間・90日"なのですか?
仕事や家庭で忙しく、趣味に割ける時間も限られがちな方へ。子供がいて手いっぱいななかでも「いつか弾けたら」と憧れている方も多いかもしれません。そのなかで続けるには、根性だけでなく「続きやすい設計」が欠かせません。本ページでは、「毎日1時間・90日」というサポオトの練習設計の理由を、学習科学の考え方に沿って整理します。
サポオトでは、毎日1時間・90日という練習設計を採用しています。これは私たち独自の思いつきではなく、学習科学・成人学習・技能習得の分野で国際的に整理されてきた考え方をもとにしています。代表的な枠組みとして、OECD・UNESCOが示してきた学習原則があります。ここでは、それらの考え方とサポオトの設計との関係を簡単にご説明します。
1. 忘却曲線:人は忘れることを前提に学ぶ
学習科学では、人は学んだ内容を時間とともに忘れていくという現象が古くから知られています。これは一般に「忘却曲線」と呼ばれています。
忘却曲線が示しているのは、次の点です。
- 一度学んだだけでは、記憶は急速に薄れる
- しかし、忘れかけたタイミングで思い出すことで記憶はより長く保持される
重要なのは、忘れること自体は失敗ではない、ということです。サポオトの練習設計は、この忘却曲線を前提に、「忘れながら、うまく思い出せるリズム」をつくることを重視しています。
忘れることを前提に、思い出す頻度を設計する——その考え方に沿っています。
2. OECDが整理する「分散学習」という考え方
OECDは、学習科学の研究をまとめた中で、次のような原則を示しています。
- 短期間にまとめて学ぶよりも
- 時間を空けて繰り返す学習(分散学習)の方が長期的な定着につながりやすい
この考え方は、忘却曲線と密接に関係しています。毎日少しずつ触れることで、完全に忘れてしまう前に前日の内容を思い出し、記憶が少しずつ安定していくというサイクルが生まれます。サポオトが「毎日」を基本にしているのは、この分散学習を、最も自然な形で実行しやすい頻度だからです。
まとめてやるより、毎日少し触れる方が続けやすい、という考え方に沿っています。
3. なぜ「1時間」なのか(成人学習の視点)
OECDやUNESCOが扱う成人学習の分野では、次のような点が共通して指摘されています。
- 成人は、長時間の集中学習を継続しにくい
- 一方で、短すぎる学習では積み上がりにくい
このため、一定のまとまりがあり日常生活に組み込みやすい時間設計が重要になります。1時間という長さは、前日の復習・その日の練習・通して弾く体験を無理なく含めやすく、質を保ったまま継続しやすい単位として設定しています。
短すぎず長すぎない、生活に入れやすい単位として1時間を設定しています。
4. ピアノは「知識」ではなく「技能」
UNESCOが扱う芸術教育や生涯学習の分野では、音楽演奏は次のように位置づけられています。理解するだけでは身につかない、身体・感覚を伴う技能です。
技能の学習では、一度に大量に行うより、正しい形で、繰り返し触れることが重要だとされています。ピアノ演奏も同様に、指の動き・音の流れ・楽譜の理解を同時に使う複合的な技能です。毎日1時間という設計は、感覚や身体の記憶が崩れにくい状態を保つためのものでもあります。
身体感覚は間隔が空くと戻りにくいため、日次で触れる設計にしています。
5. なぜ「90日」なのか
学習科学や成人学習の研究では、新しい行動や学習が、比較的安定して継続できる形になるまでに数週間から数ヶ月かかるとされています。
90日という期間は、忘れる・思い出す・修正するというサイクルを何度も経験しながら、学習が「特別な努力」ではなく、日常の一部になるところまで到達しやすい長さです。
特別な努力から日常へ移行しやすい長さとして、90日を目安にしています。
6. サポオトの考え方
サポオトは、最短で上達する方法や努力量を最小化する裏技を提供するサービスではありません。OECDやUNESCOが整理してきた学習原則を踏まえ、忙しい大人が、無理なく続けられる条件を一つの形としてまとめたのが、「毎日1時間・90日」という設計です。
最後に
この方法は、すべての人に当てはまる万能な正解ではありません。ただし、趣味としてピアノを弾けるようになりたい、途中でやめてしまいたくない、できればきちんと理由のある方法を選びたい、そう考える方にとって、失敗しにくい設計であることを目指しています。
大人の趣味としてのピアノの考え方は、大人の趣味としてのピアノのページで整理しています。実際の体験談は受講者の声を見るにまとめています。
※ 本ページの内容は、学習科学・成人学習の観点から専門家の意見も踏まえ、今後補足する予定です。
仕事や家庭で忙しいなかでも、ピアノを弾けるようになりたいと考えている方へ。90日で1曲を目指す進め方について、話を聞いてみることができます。
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